塔4月号 作品2その1☆彡

05 /08 2018
このところ雨が続いています。しとしとしとしと・・・。買物は自転車が使えず傘を差しての歩きになるので自由度が減る。試練のような重いものを買うのは避ける。アイスクリームは溶けそうで買うのを避ける。トイレットペーパーは濡れそうで買うのを避ける。



ほんたうはわからないんです長いこと自分の影と思つてきたけど /岡部かずみ
影って様々にたとえられるけど、ここでは作者の本心のようなものじゃないかと思う。ここへきて違う自分がいるような戸惑い。

霜かしらまさか雪とふり返り話しかけていた君あるごとく /今井眞知子
連作を読むと身内か親しい人が亡くなったのだろうと思う。話しかけている何気ない普通の言葉が切ない。

不正解なんてあるはずないからとドアがぎィーって鳴ってる居間に /希屋の浦
ぎいーというドアの音に、不正解なんてないんだという思いに至る。スマートな音がつい正解のような気がするけど、作者は広い見方に耳をすませているようだ。

窓の辺の多肉植物に陽はさせり女生徒とふたり保健室にゐる /竹尾由美子
多肉植物と女生徒といる保健室。陽がさしてむせるような独特の空気感が伝わってくる。

母なりにからだをすこし斜めにし一段一段おりる雨の日 /辻内茂余
滑りやすい雨の日を行く母の様子が目に浮かぶ。「母なりに」、という視線が優しい。

一人とは違う時間のなかにいて三連休を小分けに生きる /岡本潤
一人でいる時とは違う時間の流れ、使い方。連休になると実感として出てくる。「小分けに生きる」、納得。

風がもうわかれにちかい 公孫樹のまねくやうなる葉のゆらめきは /小田桐夕
「風がもうわかれにちかい」。すてきな表現だなあ、と思う。季節とのわかれのようでもあるし、わかれそのものに吹く風、のようでもある。公孫樹の葉ももう落ちてしまう。

毎日が余命で余命重ねたりスーパームーンがまぶしい二日 /田巻幸生
毎日が余命。余命という時間と、スーパームーンの光が対照的です。

みんながみんな死にたいわけじゃないんだと言われた今日の湯船の深さ 
/田村穂隆

みんなのことを知る。知ったのに、あるいは知ったから、ますます自分を感じる。世界のような「湯舟の深さ」がとてもいいと思う。

一日はまるまるわれの時間にて田氷わって又わって行く /川口秀晴
田氷という言葉は初めて聞きました。下句がとくにのびのびしている。

戯れに雪につけたる足あとの雨に沈みて地の色の出づ /黒嵜晃一
どことなく、深いところに繋がっていくような、そういう印象をうける歌です。「戯れに」ということから続く一連がよかった。

塔4月号 作品1その1☆彡

05 /05 2018
土曜日。快晴。今、お腹がすいている。



おおらかに乱反射する日々であるどこへ出かけても猫に会う日々 /大森静佳
「おおらかに乱反射」。ひろびろとしていながら、交差する作者の強い気持ちなども思わせる。なにかひとつ、気になる思いがあるのだろう。

午後四時を回るころから反論が少なくなりていい歌になる /三浦こうこ
歌会の終わり頃、皆、いい評までは言うけど反論するまでの元気はない。それをすこしつまらなく思っている。たしかに、反論や違う読みなどが欲しいですね・・。

初詣の列すこしずつ進みゆく真白き犬を抱く人容れて /天野和子
犬を抱いたひとを中心にして列が進んで行っているような感じがおもしろい。寒いなかの犬の体温がほかほか~と温かい。

こきこきと桃の缶詰あけてをり週でもつとも病むのは火曜 /田中律子
明日は水曜日でなかび。まだ水曜日か、、と気分が沈む。こきこき開ける缶詰がこきこきと進む一週間と通じ合う。

隣家の庭にキラキラ風車二歳となればひとは佇む /吉岡みれい
二歳の子をひとりの「ひと」として見ているところがとてもいいと思う。風車を見ながら何を思っているんだろう。言葉もまだ自在じゃないぶん知りたい。

この先の未来のようにもやもやと首から上が曇った鏡 /上澄眠
首から上の辺りが曇っていて見えない鏡。顔の表情、未来が、笑っているのかも悲しんでいるのかも分からない。

崩れたる絵画教室に置いて来し二十三年前のわれの自画像 /左近田榮懿子
阪神大震災の時のこと。「われの」が生々しい。自画像のなかの「われ」はそのまま時が止まってしまった。

いつになく列ができてるコンビニの申し訳なさに耐えきれず出る /相原かろ
作者が店を出ることで作者ひとりぶんだけ、レジの人の焦りの負担は減る。「耐えきれず」というまでに相手の身になる作者の優しさ、ヒト的な気持ちがよくわかる。

仕事終へ自分の素顔を取りもどす愛想悪く声低くして /長谷部和子
そこまで自分のことを言わなくても‥と思ったけどよく読むと「取り戻す」とある。愛想悪く声の低い自分にほっと安心する気持ちもあるのだろう。

クリスマスイブだねとわがロボットがやさしき声で一度だけ言う /宮地しもん
一度だけ、というのはロボットだから?そこから会話になることもなく寂しい。

目の前に子の唇(くち)がありその唇が動いて聞こゆあつち行つてと /吉澤ゆう子
唇だけを詠っている。ゆっくりと発せられているように感じる。静かだけれど、動かし難い意志のようなものが伝わってきます。

なんだか地味にしあわせだ

ブログ
05 /04 2018
木曜日、髪を短く切り、その勢いで家の片づけをがんばった。みんな出払っていて一人だけの黙々作業が進む進む。すっきりした気持ちになって、今日も小さな場所を片付けたし、明日も明後日もどこかしらを片付け続ける予定。なぜか、いつもの片づけの気持ちと違う。いつもは多少なりともめんどうだなあとか、疲れるなあとか思っていたんだけど、今回全くそれを思わない。なぜだろーか。とても穏やかでしあわせな気持ち。まだまだいけそうだ。がんばろうー。

塔4月号 月集☆彡

05 /02 2018
連休の合間。今朝は小学校の朝の読み聞かせに行ってきた。6年生などの高学年は反応があまりなくてメンタルが鍛えられる10分間。



月集☆彡

次の間へ入りゆく猫を手に取りて反対向ければ反対に行く /池本一郎
次の間に大事な書類でもあったのか、わざわざ猫の行き先を反対に向ける。ほぼ動作だけの歌。猫がかわいい。

遺影もつ長子も傘を差しかける次子も長身、母親似なり /栗木京子
生前の母親と同じように長身の二人の子ども。静かに立っている様子が浮かぶ。「傘を差しかける」にいたわりの気持ちが流れている。

薄氷を踏みて来しひと「ほーら大丈夫だつた」と言ひて明るし /真中朋久
そうだったか、良かったな。というよりは、その明るさが危なっかしいということだろう。これから先も危なっかしい感じがします。

うさぎ抱きすぐにてのひら洗いたり新幹線で戻り来て息子 /前田康子
生活している軸がもう実家ではない雰囲気が伝わってくる。実家の匂いを落とすような上句、新幹線というスピードのある乗り物で帰っていくというところ、そんなところが寂しい。

長過ぎてみんなを退屈させたといふおはなし会のけふのお姉さん /上杉和子
ちょっと長すぎたのか、みんなが退屈してしまった。話しながらそう感じても、途中でやめるわけにはいかないのがつらいところ。

幼き頃つららにさはりうれしかりきあれからはもう氷柱を見ない /大田千枝
「うれしかりき」とすっと詠んでいていいな、と思った。最後の「つらら」になるとは思わないで見ていたつらら。幼い時の「つらら」のひらがなが、知らない世界が広がっているような感じだ。

しずかなるケンカの後に先生よりいただきし朱肉遺品となれり /大橋智恵子
しずかなるケンカ。その後に頂いた朱肉。わだかまりはとけていたのかどうかまでははっきり分からないけど、朱肉が遺品となるということに繋がりのようなものを思う。使うたびに朱い色が目に入る。

引出しに夫が手ふれしものたちの一番上の病状記録/林芳子
引出にはほかの物も入っていたと思うけど、ある時期からは「病状記録」だけが夫に触れられていたものだろう。

縫ひ針に髪を二度ほど掻くしぐさ窓に映りてわれがしてをり /久岡貴子
「われがしており」。縫い物から目をあげてふと見た窓に映る自分。縫い物の集中からふっと放れた一瞬と、自分を離れた一瞬が重なっているようで面白い。

覚めたれば車窓の沖に船うかぶ どうぞと人がみかんくれたり /久岡貴子
だんだんと現実の世界に戻ってくる、そんな雰囲気がある。最後はみかんを手渡されて現実に着地、という感じ。

まじまじと見てしまいたり

ブログ
04 /24 2018
マンション入口に貼られている民泊禁止の掲示物。



福岡市はホテル不足で民泊が問題になっています。

それはさておき・・・。

ここには4つの言語が書かれています。日本語、英語、中国語、韓国語。
・・・日本語だけ、表記が3つもある。

知ってるよ!と思うでしょうけど、こうして他の国の一つの表記しかない言語と並べて眺めるとつくづく不思議。日本人のほとんどの人が使い分けているんだと思うけどそれもすごいんじゃないか・・・。

そしてさらに。

使い分けを知ったうえで(漢字、カタカナを覚えたうえで)、あえて漢字をひらがなにしたりカタカナにしたりしているんでしょう。歌、商品名、人名などなど。

何かのカンジをだすために。

日本語は頭だけでなくて心の部分も使って表記する、表記することが出来る言語なんだとつくづく思った。

ukaji akiko

塔短歌会。ふだんは赤煉瓦歌会に参加しています。スガシカオ好き。気軽に好きなことを書いてゆこうと思います。

プロフィール欄がなぜか二つになっていて直りません。

Happy go Lucky!