アレクセイ・カラマーゾフと行く秋の電車がふいに身を捩りたり /澤村斉美

ブログ
11 /04 2017

このところ天気が良くて気持ちいい。マンションを出たとこの空。

11月も、もう4日。秋真っただ中。連休とは言うけれど普段どおり仕事の人もいる。みんなそれぞれ。


タイトルの歌は、とてもとても覚えやすい歌。読書の秋とお出かけの秋二つが入っている。


アレクセイ・カラマーゾフと行く秋の電車がふいに身を捩りたり /澤村斉美


視覚的に長い名前。身を捩る電車の長さに繋がっていく。
アレクセイの気持ちに添いながら、の作者が浮かぶ。

アレクセイは兄弟のなかで一番下の弟。思いやりがあって優しいのであった。


『galley』 2013年 青磁社

塔10月号 追記☆彡双子歌

10 /31 2017
明日から11月。

ロッテ発売のラミーチョコレートとバッカスチョコレートというのがあって、これは美味しい。これがスーパーに並ぶと、ああ、もうこの季節かと思う。毎年かならず買ってしまう。もうすでに買っていて、少しずつ食べている。


今月の双子歌☆彡  ~季節の訪れ~

ひぐれまで水田のひかりことしまたオタマジャクシをタガメはたべる/大橋智恵子
(月集)

蝉の鳴く朝は今年も来たんだねトーストかじった子は父に言う /吉口枝里
(作品2)



夏の始まりの歌。それぞれ、「ことしまた」「今年も」と巡りくる夏に生き物が登場する。

一首目は、上の句のひぐれまで水田のひかりがとてもきれいなぶん、下の句の生き物の食べる食べられるが印象に残る。シンプルさがいいと思う。

二首目は子の物言いがいいなと思った。蝉の鳴き声を背景に朝の食卓の様子が浮かぶ。蝉の鳴き声のことを言っているところを見ると、土曜とか日曜とかゆっくりとした時間かな。


以上今月の双子歌☆彡

塔10月号 作品2、若葉集☆彡

10 /30 2017
10月も終わる。さよならカボチャ大王。美味しい煮ものにならんことを。

作品2

まだ覚えやすい学名だったのに夕立の頃すでに忘れつ /廣野翔一
水族館を訪れた連作のなかの一首。覚えやすいと思った学名だったのに忘れてしまった。一気に降る夕立の激しさ。何も見えず、もう思い出すことはむつかしそう。

覚えやすい学名ってどんなものかと思って、水族館だからクラゲで検索してみたら、カブトクラゲの学名はBolinopsis mikado.。カブト(兜)と帝でこういうのは覚えやすいかもしれない。でも前半は忘れそう。今まで学名とかあまり気にしていなかったけど見てみると面白いモノなのかも。

霧雨の降りつぎながら明るみて時どきスズメが草に下りくる /今井眞知子
降りつぎながら明るみて、がいいなと思う。まだ湿り気ある草に下りてくるスズメの様子がかわいい。

ぱたん ぱたん 傘の倒れる音がする雨降る夜の電車にゆられ /垣野俊一郎
閉じた傘は座った時に持ちにくい。夜の電車、少しくたびれて眠っている人の手元から倒れる傘。ぱたん ぱたん、の一字あけ、車内各所で倒れる傘の感じがでている。

オホーツクの海霧押し寄せ土産屋の<蟹あります>の幟を隠す /北野安太
幟ひとつ隠れたことを言うだけで一面まっ白の情景が浮かぶ。すごい景色。蟹あります、の言葉もいい。

幼子はおうちがこわれているよと言う小さな声でニュース見ながら /鈴木緑
幼子にとっておうちがこわれるということはとても怖いことだろう。人のことや命のことをまだ把握できない歳なのかもしれないけど、小さな声で、ということから漠然とした不安を感じているのだと思う。

弟が風呂場のドアを閉める音 いつか追い出される日を思う /田村穂隆
脱衣所の奥でバタンと閉まる音。少し遠い音というのが、いつか、を連想するのだろう。


若葉集

地下鉄の隣席のひと突然に小銭かぞえしのちのしずけさ /神山俱夫
地下鉄代を確かめたのか。静かになったのは安堵したからなのか、作者にも分からないというところが静けさを分かち合っているようで面白い。

記念ってキミはわりかし使うよねいいよいつも記念日でいい /希屋の浦
わりかし。すごい口語。口語と一首の軽い感じとがとてもあっているように思う。記念日を大事に思う相手、記念日自体はそう大事じゃないように思っている作者。差異が面白い。

制服を着れば無敵と思ってた頃は洗ってなかった食器 /平野杏
無敵と思っていたものは幻想だった。今は日常の面倒なことをいろいろとしないといけない。無敵という大きな言い方と食器を洗う些細なことの組み合わせが面白く実感がある。

生きてゐる我はときどき一辛(いちから)のcoco壱カレーを食べたりするが /岡部かずみ
叔父さんの死を詠んだ歌が並んでいる。死んだ後には好みの物も食べれないし好きなことも出来ない。辛さも生きているから感じるもの。

職業を世間話として聞かれマニキュア剥がしておけばよかった /椛沢知世
職業に対して何かの思いがある作者。世間話として聞いてきた相手にはこれ以上自分をオープンにしない。マニキュアは気に入りの色だろう、自分の気に入りのものや自分を表すものをもう見せたくなくなった。


以上作品2、若葉集☆彡

塔10月号 作品2☆彡

10 /29 2017
昨晩から降っていた雨が昼にはあがり夕方は穏やかな日差しがあった。

毎月の塔から歌を三十首と少しづつ選んでいるけど、他のかたのブログやフェイスブックをみていると、選歌欄から十首ずつ選ぶという方法、それのほうがわたしにはやり易いかもしれない。と、この頃思う。
十首づつ選んでそれに感想をつけるのは時間的に大変だろうと思って全体から三十~四十首を選んでいたけど、そうしたらそうしたで歌を絞るのにけっこうな時間がかかることが分かった。同じ時間がかかるならどっちがいいか。

というわけで、来月は各選歌欄から十首づつ選ぶ、をしてみようかな。試し。

今月は今までどおり☆彡



作品2

お元気そうと言われて一旦停止する気持ちを端から三角に折る /丸本ふみ
一旦停止する、その先に作者が自分の心のなかだけでとる行為。三角に折るは、折ってもすこし浮く折り紙をイメージした。全くの拒否ではない、でも、気持ちはやはり隠すを選んでいる微妙な心情かと思う。

先生が名でよびくるるうれしさよ短歌教室「田中」はふたり /田中ミハル
田中さんはよくある苗字のひとつ。でも、それがかえって嬉しいことにつながった。先生との距離が近くなったような感じだろう。名前で呼ばれるとうれしいもの。

良いお肉、食べに行かうと言つたときやうやく笑つてくれたね、じいちゃん   /大江美典
良いお肉、この初句がいい。おじいちゃんを喜ばせたい気持ち、大切にしてる気持ちのさりげなさがいい。

桃色を食べてしまえば寂しさが残ってしまう三色団子 /水野直美
桃色の華やかさ、可愛らしさ、なくなればたしかにさみしい。三色団子は三色のまま在り続けるべき団子なんだ。はじめて思った。

叱る人叱られる人かき氷かさりかさりと水になりゆく /福田恭子
かさりかさり。うすい氷の音がいいと思った。叱る叱られるも場所により変わる立場だろう。水になりゆくはそういった全体の世界に思える。

参観と懇談終へて買物しゆつくり作つてゆくオムライス /岡本伸香
歌からはいつもは仕事をしている雰囲気が。仕事の日はもっとばたばただけどこの日は時間がゆったり。ゆっくり作るオムライスに作者の気持ちの余裕と休日めいた楽しさがある。

夏ふいに刻は動けり日盛りを桃の香すつと過ぎゆくなかを /有櫛由之
時間が止まっているような真夏の暑く重く動かない空気。それが桃の香が過ったことで動く。こちらまで香りが届きそう。

コンビニに幼なじみの姉がおりて手を包まれて釣りをもらいぬ /片岡聡一
お客と店員としてのことだけど、お客と店員としてでなければありえないことだろう。照れというか困惑というか、この歌からはきれいな店員さんが思い浮かべてしまう。

結婚のいきさつまでを知る人と枇杷の木ごしに会釈をかわす /山名聡美
会釈の相手は近所の人、母親と仲が良い人かな。枇杷の木ごしの会釈がいいと思う。少し距離ある気持ちを表しているように思う。

ベンチにて妻の帰りを待つ影が石にと移り倍にも伸びる /武井貢
ずいぶん待ってる!石にと移り倍にも伸びる、面白いなと思った。夕がたの長い影が浮かんでくる。

娘のくれしCDラジカセ消す時にSee You!と輝(て)り のち闇溢る /岡村圭子
眠るまえに聴いていたのだろう。See You!のひときわ明るいメッセージと光。そのあとの静けさと夜の闇。


(作品2に続く☆彡)

22日の赤煉瓦歌会

10 /25 2017

池本一郎さん、ありがとうございました!

10月22日日曜日、選者派遣で来られた池本一郎さんをお迎えして、池本さん+赤煉瓦歌会メンバー、12人での歌会があった。

池本さんが塔に入られたのは1961年とのことなので、もう、56年も歌といっしょの日々をおくってこられてる。わたしも全然生まれてない頃からされてる。

長く歌をするとたくさんの人のいろんな歌に触れて、様々な歌を受け止める箱ができるのだろうな。

歌会中の池本さんの評を聞きながらそう思った。

「わからん、というのじゃなくて、ここまでは分かる、ここも分かると。そうすると、ここは何だろうと想像してみる」

「この言葉がむつかしいと言うのではなくて、どうしてこの言葉を作者が使ったのだろうか、と作者の側に寄る」
など。

わたしは評の時に、この言葉があるから混乱する(分かりにくくなる)とか言ってしまうので、もう一歩作者の側に寄って考えることを気をつけたい。作者が言いたいことな何なのかを考えて一首全体を見ないといけないとあらためて思った。そして、そういう気持ちを持ちながら、分かりにくい時は分かりにくいと言おうと思う。


あとひとつ、今回思ったこと。

上に書いたことと関係あるけど、今回のみんなの詠草プリントを見た時に(歌会の数日前にそれぞれの家に届く)、いつもの詠草よりもがやがやしている感じをうけた。
いつもは、届くプリントを見てそんな感じを受けるとこはない。全体的に落ち着いている。

何でかなと思うと、自分も含め、一首を仕上げる最後のツメの部分、そこが整わずの歌が多かったんだと思う、今回は。

最後まで気をつけたい。


池本さんありがとうございました!

ukaji akiko

塔短歌会。ふだんは赤煉瓦歌会に参加しています。スガシカオ好き。気軽に好きなことを書いてゆこうと思います。

プロフィール欄がなぜか二つになっていて直りません。

Happy go Lucky!