FC2ブログ

塔8月号 作品2その1☆彡

09 /06 2018
作品2、若葉集、月集作品1、の順番でします。先月7月号の月集と作品1をしていなかったのでそれは後でします。


作品2

まだ二人別の食材選んでは帰り着く場所を家と呼びおり /中井スピカ
「まだ」、からふたりの関係性がうかがえます。それぞれ自分が食べたいものを買っているけれど帰る場所は同じ。「家」という言葉が明るさと苦みとを伝えていると思います。

居間を飛ぶ蠅の無数の目に映る世界すべてが益田家の居間 /益田克行
蠅の複眼から見える益田家の居間。それを想像してしまう。椅子や壁やカーテンが迫りくる。「世界」は「益田家の居間」なのだという大きな出かたが面白いです。

両親の形見を着ている兄と我たがいの服装せつなく笑う /あかり
あたたかい歌。嬉しいようなさみしいような「せつなく笑う」がいいです。

坂の上(え)に喫煙所ひとつだけあり 煙草を吸うため坂のぼる人 /石橋泰奈
喫煙所も少なくなってしまったこの頃。人混みの中でなければ外のほうが気持ちいいし吸っていいと思いますが、律義な人なのだろう。シンプルな歌いかた。

月を見るように遠くに目をやれど六畳一間に<遠く>はあらず /福西直美
何かの想いがあって、遠くを、ここでは月を想ってみようとしたけど、叶わず現実に着地する。でも落胆ではなくそこで踏ん張るような前向きな感じがします。

薄鼠のニットのベストのやさしさに包まれてゐる生まれた日から /大江美典
とてもやさしい歌。薄鼠のニットのベストは作者が生まれた時に抱っこしてくれた人が着ていたのだろう。生まれた日からずっと優しさに包まれていると感じている作者。読んで幸せな気持ちになる。

抽象画めぐり観てのち白き皿に有頭海老をまじまじと見る /久川康子
白い皿のうえの海老のリアルな姿。目や触覚、口など海老の頭にあるこまごまとしたもの。抽象画に慣れていた目にくっきり。

昼下がり銀のボウルで水をまく「松」の店主の横顔を見た /吉岡昌俊
どんな横顔なのかは詠われていない。「横顔を見た」が大事なのだろう。作者は店主の正面の顔ならよく知っている。営業時間外の姿自体も「横顔」、ということかな。銀のボウルも光っている。

ワイシャツの腕の部分を折りあげて海辺のような感じでわらう /山名聡美
海辺とあるからか、折りあげられるワイシャツの腕が波のようにも思える。「海辺のような感じでわらう」、自然で穏やかでいいなと思います。

影だけになってはいないと思いつつ息子の靴をよけながら脱ぐ /竹田伊波礼
家族のなかでの自分の存在。玄関の息子の靴が妙に大きく感じたのだろう。自分のほうがまだ上なんだからな、みたいな気持ちか。「よけながら脱ぐ」がとてもいいと思いました。

遠くから呼ばれたようで振り返るふっつりと止みし右の耳鳴り /中野敦子
いつも鳴っている耳鳴り。それが日常だから、耳鳴りが止んだ時にはっと意識する。なんだか呼ばれたような、と振り返る。様々な音のなかに佇んでいる作者が浮かびあがります。

昨日の赤煉瓦歌会(9月2日)

09 /03 2018

9月なんですよ!うかうかしてると今年も終わるんですよ!

昨日の赤煉瓦歌会は見学の方をふくめて12名でした。

自由詠一首と題詠一首。

題は「杖」でした。

塔誌にも杖を詠んだ歌を時々見かけます。

私は先日白杖を持った若い女性とすれ違ったのでそのことを歌にしました。

若い女性ということも入れず、すれ違った事実だけを歌にしましたが、思っていた以上に良い評を貰えてうれしかったです。(読みかえしてみたらこの文、変でした。思ってもなかった良い評を、と書けばいいのかな。特に目立つ言葉もない歌だったので)。

お昼をみなさんと食べた後、用事があったので先に帰りました。


帰りの地下鉄(午後)で塔8月号を読んでいると、近くに立った若い男性が新聞を読んでました。車内で新聞を読む人を見るのは久しぶりでした。昔働いていた頃、朝の地下鉄には特に男性が日経新聞とか普通の新聞とか読んでいる姿があったけど、今もそれはあるのでしょうか?スマホ派が多いのでしょうか。新聞派もある一定数はいるのでしょうか。東京などの都会と地方とではまた違ったりするんでしょうか。朝、出勤しないからわかりません。

ちょっとひと息ティータイム

ブログ・ちょっとひと息ティータイム
08 /30 2018



今週の朝日小学生新聞の「春夏秋冬楽しく俳句」より。


あさがおはなんでかれたりするのか /東京都・小1(名前からは性別分からず)


おお!ほんとに小1?小1だからこそなのでしょうか??
一年生は学校であさがおを育てるから、育てたのにという思いもあるのでしょうが、それとは別に、この問いが世界のいろんなこと(決まり事や不条理なこと)を含んでいるように思えるから、ひきつけられるのでしょう。「かれたりするのか」の字足らずの表現がいいです。


そしてもう一句、印象に残ったもの。


いつかわすれたうさぎがしんじゃった /東京都・小1・男子


最初どこで言葉を切るのかすぐには分からなくて何度か読み返しました。、
いつかわすれた/うさぎがしんじゃった 
感情の言葉が入っていなくて、かえってきりきり痛みがきます。


「猟奇歌」 夢野久作  続き☆彡

ブログ・歌集
08 /27 2018
青空文庫の「猟奇歌」、数えてみたところでは259首。
最初のページをめくったところに知っている歌が載ってました。

この夫人をくびり殺して
捕はれてみたし
と思ふ応接間かな

夢野久作



どこで読んだのか思い出せませんが、夢野久作だったのかーと思って、ということは、私が読んだことあったくらいだから有名な歌なのではないかと思います。夫人や応接間という言葉になんとなく浮かんでくるイメージがあります。願いが、<殺す>だけでなく殺して捕らわれてみたい>、というのが面白いです。「この夫人」、ってどんなだったのでしょう。


そのほかの歌をいくつか紹介します。


高く高く煙突にのぼり行く人を
落ちればいいがと
街路から祈る



殺すぞ!
と云へばどうぞとほほゑみぬ
其時フツと殺す気になりぬ



人体のいづくに針を刺したらば
即死せむかと
医師に問ひてみる



春の夜の電柱に
身を寄せて思ふ
人を殺した人のまごころ



抱き締める
 その瞬間にいつも思ふ
あの泥沼の底の白骨



毎日毎日
 向家の屋根のペンペン草を 
  見てゐた男が狂人であつた



蛇の群れを産ませたならば
・・・・・・・・なぞ思ふ
取りすましてゐる少女を見つつ



放火したい者もあらうと思つたが
それは俺だつた
大風の音



一里ばかり撫でまはして来た
なつかしい石コロを
フト池に投げ込む



不思議な世界です。想像の歌も多い。殺す殺される、また、血、白い肌、夕日、空、など色がよく出てきて、映像が美しいです。そして、一見突拍子もないふうでいて、きれい事ばかりではない、人間の考える普遍的なところがあると感じました。読んだあと、不思議と元気が出る歌集でした。


資料をくださったり、歌のこと教えて頂いたりと、夢野久作のことが思わず楽しく続きました。ありがとうございました。歌が作られた年代とか分かったらまたブログに書こうと思います。9月に「一行寺と夢野久作」というのが博多区であるようなので行けたら行ってみようと思ってます☆彡


(補足)一首目の「高く高く」は表記では「高く~」のようなくり返しの文字なのですがパソコンで出なかったので上記のように書いています。
(追記)ブログ「やさしい鮫日記」(2010年10月1日)に「猟奇歌」のことと「猟奇歌」ができた過程など分かる本のことなどの記事があります。

「猟奇歌」 夢野久作

ブログ・歌集
08 /27 2018


塔の全国大会で、とあるレディから夢野久作は歌も作っていて青空文庫というのにあります、と教えてもらいました。帰宅して調べたらありました、ありました。それと、青空文庫ではなくて、赤澤ムックという方が編集した「猟奇歌」もありました。こちらは「猟奇歌」から百十六首選んでいる、と説明にあったので、歌数が多そうな青空文庫のほうを注文しました。

さて、青空文庫というのはペーパーバックというだけあって・・・

載っているのは歌だけ!

いつ作られた歌か、何首収められているのか、とか全くナシ。こうも何もないとかえってせいせいするというか。

それはまあいいとして、

これは・・・と思ったのが、三行で書かれている歌がたまにページを跨いでいることです。

なるべくぱっと見て一首全体が分かりたい。

でもですね、最後の一行が次のページをめくったところだと、何を言ってくるのかな、この人・・・というようなどきどきがなきにしもあらず。(とは言えぱっと見て分かるほうがよい)。

そんな、何を言ってるんだ、この人・・・。というような、

とてもおもしろく、惹きつけられた歌が満載です。

歌を少し紹介します。

(続く☆彡)

ukaji akiko

塔短歌会。ふだんは赤煉瓦歌会に参加しています。スガシカオ好き。気軽に好きなことを書いてゆこうと思います。

プロフィール欄がなぜか二つになっていて直りません。

Happy go Lucky!