塔4月号作品2

05 /02 2017
作品2
めらめらと過去を睨んでゐる午後に病床に満ちくる炒飯のにほい /赤嶺こころ

去年から玄関前にいた茶色い蛾が裏返っている裏は黄色い / 内海誠二

雨降るを吾に知らせてくれていた木を伐るモーター空に轟く / 太田愛

十五年着しセーターを捨てて今朝我が吉祥寺の街は消えたり / 髙野岬

孤食とふ言葉のあるらし小さくもがつちりとした両手鍋欲し / 谷口富美子

「たいがたい」小さな声で呟いて校舎を見ずに真っすぐ歩く / 濱本凜

弟の足は布団をはみ出してただ月光に冷やされていく / 田村穂隆

盗まれし香薬師像の右手戻り来ぬオブジェの如く黙ふかくして / 内藤幸雄

墓地につく「外人」とうはなんだろう ボブディラン想う風の吹く丘 / 今井由美子

今梳きし髪舞ひ落ちて光りゐる冬の日のさす縁側のすみ / 佐藤美子

見上げれば夕暮れが空赤く染め何度かけても留守電のまま / 夏川ゆう

やさしさを飴のようには配れない自分を好きになって半年 / 小松岬

まるまって眠るあなたに夕日さす今日はカーテン引くために来た / 森富子

「たいがたい」小さな声で呟いて校舎を見ずに真っすぐ歩く / 濱本凜
 たいがたい。耐え難いの方言と思うが、とても良いと思った。おもわず口にだしてしうほどの「たいがたい」とはどんなことなのだろう。校舎を含む世界から少し離れて何かを見ようとしている作者。真っすぐ歩く、に若さを感じる。

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ukaji akiko

塔短歌会。ふだんは赤煉瓦歌会に参加しています。スガシカオ好き。気軽に好きなことを書いてゆこうと思います。

プロフィール欄がなぜか二つになっていて直りません。

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