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塔10月号 作品1☆彡

11 /08 2018
11月なのに暖かい。雨が降ってきました。

遠浅の海に拾いし平家蟹かなしき顔のみ子らと見て捨つ /橋本恵美
平家蟹というのは源氏に負けた平家の無念、悲しみの表情が甲羅に現れていると言われている蟹です。子どもとの海の思い出。楽しいというのではなく広い海で悲しみと出会う。静かに詠われています。

虹ほたるガラス細工の馬の脚きれいと思ふもの数へゆく /白石瑞紀
意識してきれいなものを数えていく背景には、きれいではない、反対のものも作者の巡りにあるのかもしれない。「ガラス細工の馬の脚」が個性的で印象に残る。

CT撮り内視鏡してエコーする我が身をこんなに護っていいの /髙畑かづ子
高度な検査をして病から護る、それはもしかしたら不自然なことではないのではないか、と作者は感じる。それもあるし、自分なんかをここまで護っていいのか、という自分というものの価値に思いを馳せているのではないか。

家の鍵忘れて座るスーパーのベンチ意外に低く作らる /永田聖子
鍵を持った家族が来るまで待っている場面だろう。存在は知っていたけれど座ったことはなかったスーパーのベンチ。座って見えた景色が新鮮。

時間だつて皆でつぶせば怖くない老人ホームで風船をつく /河原篤子
時間を持てあます不安というものが歌から伝わる。皆でつぶせば怖くない、として風船をついているが作者はまだどこか不安な気持ちがあるのではないだろうか。

気がつけば手の写真なく六歳の白き右手を大きく写す /高橋武司
「手の写真がない」と、どういうことで気がついたのだろう。バイバイ、をされた時などだろうか。「右手を大きく写す」普通の言葉だけれどとてもいいなと思いました。

コロンビアに勝ったことなど共通の話題のように話しかけたり /中山悦子
作者は話題を探し、相手は話題をふられれば話す、というくらいの距離ではないかな。コロンビアに勝ったことは特に重要ではない。作者の微妙な心の動きがあると思います。

それだけで完成されてる竹輪さえ磯部揚げへと高めるこころ /相原かろ
竹輪という完成形。なのになぜ?という気持ちもありそうだ。さらに上を目指す人間のこころに作者の敬意もある。「高めるこころ」がいいと思います。そして、極めた完成品が、「ちくわ」「磯部揚げ」という高級品ではないところが面白い。

「風」というTシャツを着た老人とすれ違いたり振り向きがたく /相原かろ
振り向きがたい、振り向いてはいけない。この老人の存在を強く感じた作者。老人を風そのものに感じたのか。すれ違っただけの作者と老人とがくっきりしている。

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ukaji akiko

塔短歌会。ふだんは赤煉瓦歌会に参加しています。スガシカオ好き。気軽に好きなことを書いてゆこうと思います。

プロフィール欄がなぜか二つになっていて直りません。

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