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塔9月号 作品1☆彡

10 /02 2018
10月。今日は近くの幼稚園の運動会の練習の声がよく響いていました。音楽、先生のスピーカーの声、笛。


水紋が水紋を消す 夏至前の川のおもてを鷺、発ちしのち /白水ま衣
夏至前の明るさのなかに何かを想っている作者が浮かぶ。水紋が水紋を消す、鷺が発つなどから想いの変化がイメージされて、静かな空間がひろがります。

いつまでも突かれてゐたる毬のごと空咳つづく夏の一日 /國森久美子
毬と空咳。よく結びつけてあると思いました。いつまでも終わらない咳のきつさ、夏の日に他の音もなく咳の音だけが響く。

かしわ屋の息子に髭が生えてから商店街はしずかになりぬ /高橋武司
おもしろい詠み方。「かしわ屋の息子の髭が生えた」ことを時の経過に重ねていておもしろいです。じわじわと、それまでの時の経過が思い起こされます。

したためた挽歌が流れ来るようで午後の早くに浜をはなれる /黒沢梓
すっと、背中辺りになにかを感じてしまう歌。自分が詠んだ挽歌のことと思うけれど、その想いやその世界にとらわれてしまう怖さがあったのだろうか。

川を渡る昼の電車に天国にはいない気がする人をおもった /上澄眠
暖かそうな電車のなかにいて想っているのが「天国にはいない気がする人」。いい人や素晴らしい人、というわけではなかった。でも、作者には印象深い人だった。川を渡る電車は浮遊感があり天国という言葉に通じているように思う。

後任への事務引継が長引きて夜の雨中を置き傘に帰る /後藤正樹
日常の出来事の歌。だけどどこか雰囲気があります。「引継ぎ」「雨」「置き傘」などの主役っぽくない言葉、作者自身も主役というわけではないような一日だけど、そこがかえってしみじみとしてしっかりした実感がある。

大きくも小さくもなき音をたて写真剥れつ梅雨寒の部屋 /清田順子
写真の剥がれる音というのは意識して聞いたことはなくておもしろい歌だと思いました。写真の剥がれる音が大きくもなかったけど、でも小さくもなかった、というところ。梅雨寒の部屋で、なにか遠い過去が、作者からはもう離れてしまっている思い出がすっと過ったのではないかと思います。

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ukaji akiko

塔短歌会。ふだんは赤煉瓦歌会に参加しています。スガシカオ好き。気軽に好きなことを書いてゆこうと思います。

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