塔5月号 月集、作品1☆彡

06 /12 2018
紫陽花が目に涼やか。スーパーまでの行く道道に咲いている。紫陽花もいろんな詠まれかたをされる花。悲しかったり、嬉しかったり、怖かったり、とか。紫陽花の歌が載るのはは八月号くらいか。


新聞の隅隅までを読む人がひと月の購読を約し下さる /稲垣保子
新聞を隅隅まで。すごい。丁寧に読んでくれる人との契約は嬉しいだろう。ひと月読んだ結果、購読を続けてくれるかがまたどきどきではないかな。購読=面白い誌面、ということの。

このセーターは熱を出すわいと言ふ父ゆきて八度目の冬 /大橋智恵子
熱をだすわい、の素の話し方がいい。八年経っても思い出す普通の言葉。セーターはまだ家にあって見ると思い出すのだろう。字足らずはちょっと惜しいと思った。

石畳の道の余情は思はずに白杖の先で叩いて歩く /刈谷君代
無事に歩くことが何よりも大事。余情は思わないとしているけれど、伝わってくるものがある。

同門の絆は固いゆづくんはハビエルくんと抱擁したり /新谷休呆
オリンピックの一位と三位。二位は日本の宇野選手。国別対抗の祭典だけど同じ師についているから、こうなる面はある。ひらがなの「くん」が歌をやわらかにしてると思う。

町医者の待合室の窓にいた二両電車が駅を発ちゆく /向山文昭
「窓にいた」がおもしろい。電車が発ち、窓枠だけ残ってカラの額縁のよう。ほのぼのした歌。

パチンコ店勤務の女になりたしと夫に告げて透けゆくわたし /吉岡みれい
本気とも本気でないともいえるような呟き。なにかいっぱいいっぱいのような気がする。透けゆくわたし、は何者でもなくなってしまう自分だろうか。

雪雲の空を覆える夜はただ人をやすみて怪談を聞く /金田光世
「人をやすみて」。人との関係、そこから生まれるいろんな感情をしばしやすむ。怪談の怖いという感情だけにしばらく身を任す。それは気持ちが落ち着くのだろう。

めつたに来ぬ客を待ちゐて人は立つ昆布屋の暖簾白く短い /筑井悦子
おもしろい場面と思った。ゆらゆらする暖簾は昆布と似ている。

九か月のわれに<砂糖が必要>と 昭和十八年「體力手帳」 /村松建彦
「體力手帳」、母子手帳に似たようなものかな。この時代は砂糖もふんだんには手に入らなかったのだろう。「體力」の旧字に昔なんだと感じる。

アイロンは必ず夜に掛くるもの疑いもなく日没を待つ /山崎大樹
笑ってしまった歌。アイロン、日没まで待たなくてもいい日もありそうだけど、「疑いもなく」、「日没を待つ」の断定。アイロンの小さな日常と並んだ大げさな感じがおもしろい。

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ukaji akiko

塔短歌会。ふだんは赤煉瓦歌会に参加しています。スガシカオ好き。気軽に好きなことを書いてゆこうと思います。

プロフィール欄がなぜか二つになっていて直りません。

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