「九大短歌」第六号

歌誌
10 /10 2017
日曜日の文学フリマで購入しました。ブースにいらっしゃった作者の女性ともお話しできてとても楽しかった。

どの歌も楽しく読みました。何首かご紹介☆彡

初夏のだるまさんがころんだの鬼のごとくみていたかったひかり /今村亜衣莉
心惹かれた何かをひかりになぞらえているのだろう。みていたかったということなのでひかりはもうここにはない。だるまさんがころんだの鬼のごとく、の例えがおもしろい。一心に何かを見つめていた作者の姿がうかぶ。

終点の町までバスを乗り過ごし戻れてしまふ道を歩きぬ /松本里佳子
戻れてしまふ道がとてもいいと思った。今いる場所にさして不満があるわけでもない。でも、違う場所に行きたいというあこがれのようなものもある。戻れるくらいの場所だったということに半分安心して半分さみしい心だろうか。

片栗粉でとろみをつけたような日々まるまる一個の白菜を買う /海老原愛
とろみをつけたような日々。しあわせといえばしあわせのような。白菜まるまる一個はとろみとは反対のしっかりした形あるもの。そういうものを手にしなければと、とろみのなかの自分をを確かめる作者。

生きるのって辛いよねって笑いながら白いお皿を二人で洗う /菊竹胡乃美
二人、楽しそうに見えてどこか不安気な印象をうける。白いお皿。やって来るものを何でも受け止めてしまう。日々洗い流して新しくしていくことが出来たら、という思いがあるように感じる。二人それぞれの思いにあるだろう小さな差異もさみしさとなってしまう。

学生だけではなく社会人の作者もいて、でも年齢は近くて歌会も楽しいだろう。4号に載ってた吟行と歌会の様子が楽しかったからまたそういう号もあってほしいな。

「ぼくたちは体調不良」追記         (九大短歌第五号)

歌誌
06 /17 2017

先日の記事の追記。次の歌の評が中途半端だったからこうかなと思うことを書いときます。

体調悪く生きていこうみんなそれぞれの場所で生きて腸まで届こうな/菊竹胡乃美

腸というのが何にあたるか。生きて腸まで届くと聞けば思い出すのはビフィズス菌。CMでわざわざ‘生きて‘と強調するということは、腸につくのは至難の業なのだ。腸というのはビフィズス菌が自分を全う出来る目標地点。そして、その目標地点というのは生きている全員ひとりひとり違う。‘みんな‘に呼びかけている結句の‘届こうな‘が力強くてなんともいい歌だ。

おしまい! (チチヤスヨーグルトは昔らしい優しい味でほんとおいしい。チチヤスはカゼイ菌)

九大短歌第五号               「プリンの神様」「ぼくたちは体調不良」

歌誌
06 /16 2017
九大短歌第五号で楽しみにしていたもののひとつが「プリンの神様」「ぼくたちは体調不良」という連作。作者は菊竹胡乃美さん。楽しみにしていた理由は、第五号の宣伝で知ったこの題名に惹かれたのと描かれてたイラストが非常に可愛かったから。

どちらの作品も世界を明るく見ているような感じが伝わってきて楽しい。字余りの歌が多いです。生き生きとして好きな歌がたくさんありましたが三首だけご紹介。

泣けば都子宮の中にいるような布団にくるまり目を開けて寝る /プリンの神様・菊竹胡乃美
<泣けば都>という初句が面白く、<泣けば都>を受け止める二句目以降もその比喩と動作の意外性に面白さを保つことが出来ていると思う。安心できる場所から、見ないといけない現実を見ようとしている、という感じ。

うんざりなんよ会社に家庭に友達にコッペパンに相談してみる /ぼくたちは体調不良・菊竹胡乃美
「に」の使い方が面白い。作者にとってコッペパンは日頃よく食べる信頼できる好物なんだと思う。食べる時は顔の位置まで持ってきて向き合うので相談という言葉がいい感じ。うんざりなことを反芻しながら食べているのだろう。デニッシュのように主張もしないし長い時間聞いてくれるし、コッペパンは優しいパンなのだ。今度買おう。

体調悪く生きていこうみんなそれぞれの場所で生きて腸まで届こうな /ぼくたちは体調不良・同
字余りの歌が多いと言いましたが、この一首は字余りが活きていると思った。がんばる時期の長さ、届こうとする腸までの道程の長さ、腸の語からイメージされる長さ、こういったものがこのうねうねとした字余りの歌にうまく乗っているように思う。結句の届こうな、が温かいです。好きなんだけど、少し意味が分かりません。もうちょっと考えてみたいと思います。

以上、とても楽しい連作でした。おしまい!

九大短歌

歌誌
06 /13 2017

並べてみると棒線が斜めになりカッコよくなってます。
材料が同じでも配置によって雰囲気がだいぶ変わる。そう、それはナニカと似ている!と、まとめます。

第四号は山下翔さんの「温泉」五十首がとてもいいと聞いたので今年になって通販で買っていました。読むと、ほんとほんと。歌が大きいというか、あっという間に歌の中に読者を引き込む、そんな力がある。
山下さんの連作の魅力は「塔」五月号の花山周子さんがあますところなく書かれていて、こういうふうに言葉にできるなんて、これもまたすごいと思いました。時評の最後あたりには、この連作に惹かれる人たちの気持ちにまで考えが及んでいて、感心しきり。

第四号の話をすると私は吟行録、歌会録、連作からなる「歌枕を訪ねて 太宰府」がとても好きだった。吟行録にあった独楽まわし大会の様子が楽しそうで、そういう気持ちのまま次頁の歌会録を読むのでこれも楽しい。歌会録は一首に対して何人かの短い評が付いていて面白かった。思いもよらない評があったりして。

それで他の号も読んでみたくなり、先日のポエイチという催し物で購入した。
(続きをたぶん書くと思う)

ukaji akiko

塔短歌会。ふだんは赤煉瓦歌会に参加しています。スガシカオ好き。気軽に好きなことを書いてゆこうと思います。

プロフィール欄がなぜか二つになっていて直りません。

Happy go Lucky!