塔5月号 作品2その2☆彡

06 /17 2018
前記事の打刃物店ではないけど「鉄は熱いうちに打て」。

6月号がきていますが5月号をしています。



明けやらぬ空に昇れる繊月のあすは姿を見ること無けむ /丸山順司
どんな形か具体的に詠っていないけど、消えいるように薄い細い月が見えます。

この世には階段がある階段でぼくを担いでゆくきみがある /多田なの
「この世には階段がある」、という普通のこと(歌にそう詠むことは普通ではなくておもしろい)。そしてその普通の階段で作者を担ぐ「きみ」は普通ではない存在。

ひらがなを覚えしころのひらがなの「なぎさホテル」の白黒写真 /今井由美子
「なぎさ」、「ぎ」と「さ」も似ているし一生懸命読んでいたのだろう。ひとつの記憶があるものと結びつくおもしろい歌。「なぎさホテル」の名前もいい。

カーナビの道案内は時として不安を感ずる道へ導く /小山竹浩
怖い。道案内が単なる道路の間違いだけならいいけど、とも思う歌。不安を感じる、いう感覚を作者が持っているのでほっとする。

結婚式終はり花かご持ち来たる花嫁の母何語るなく /道満光子 
「何語るなく」がとてもいいと思う。花かごにあるとりどりの色の花、「何語るなく」の母親の気持ちと通じるものがあるだろう。

野の果てに沈む夕日を見たくなりバスを降りたり枯れ野のただ中 /内藤久仁茂
野の果てに沈む夕日を見たい、バスに乗っている間にそう思った、というところ。夕日を見に行くためにバスに乗る、というのとはまた違う。

後輩は丸いほっぺを光らせて産休という木立に消える /中井スピカ
産休を木立に見立てていて、おもしろい。木立のなかの見えそうで見えないところ。「丸いほっぺを光らせて」に後輩の描写もいいと思った。

庭先の楓の幹を叩きたる父よ蝉の声に怒りて /ぱいんぐりん
父の性格の一面が見える。怒りっぽいというのもあるのか。蝉の声というどうにもならないことにも向かっていく。蝉に対してこうならばけっこう周囲に厳しい父だったのだろう。

隣り家の壁が日差しの色合ひの移ろひゆくを一日映しぬ /益田克行
壁そのものを詠んでいるところがいい。もともとの壁の色は何色なんだろう。とても穏やかな歌。

すっぴんにメガネをかけてマスクして最近ほしいものは印泥 /山名聡美
お化粧っ気も要らない、すごくすごく自分だけ。印泥は朱肉のような手軽さと違い「本物」という重みがある。「本物」を求めてる、そういうことかもしれない。

塔5月号 作品2その1☆彡

06 /17 2018
6月号が届きました。ありがとうございます。
このところ、この時期にしてはややさらっとした風が吹いていて気持ちがいい。


病み上がりに食欲戻らぬ子が泣けりお前の海老を寄越せと泣けり /井上雅史
リズムがとてもいいと思う。「お前の海老を寄越せと泣けり」、子どもの駄々はいつも必死。

寝坊してよい日の夜から起きる間のいつが一番幸せだろう /丘村奈央子
うーん、いつだろうか。明日は寝坊できる、と思った瞬間の幸せ。夜更かしの幸せ。寝ている間にとても幸せな夢を見る、ということもあるかもしれない。

やうやくに雪掻く音と分かりたる臥せりて聞きし小さき物音 /黒嵜晃一
遠くの小さい音が徐々に自分の家の近くへと近づいてきて雪掻きだと分かった。音だけで風景が見える歌でいいなと思った。

幼少期にソフトクリームおごりしと成人女性にお礼いただく /武井貢
「成人女性」がおもしろい。作者の驚きと少し戸惑うような感じ、それと嬉しさ。女性にとっては幼少の頃のソフトクリームが格別嬉しい思い出だったんだろう。

コンビニに荷を卸しゆく男らが腰を示して雪深さ言う /富田小夜子
いろんな地域をまわってくるドライバー兼配達人。「ここまで雪があったよ」という仕草。作者はそのやり取りを見ていたのだろう。

働いている人の歌は好きで見つけるとうれしい。働く人が作者本人でも、作者が見ている情景でも。


若者がハンマープレスで鉄を打つ打刃物屋にゆきのした咲く /中山大三
若者のハンマープレスとゆきのした。どちらも力強さがあって、どことなく静かな独りを思わせる。ハンマープレスはプレスハンマーというのが一般的なようだ。作者は福井の方、近所にあるお店でしょうか。「金物屋」「刀剣店」とはまた違った雰囲気。

冬の朝ガラスのむこうの神様に手を合わす パンの匂いがする /吉岡昌俊
「ガラスのむこう」ということから、神様の遠さを思う。神様に手を合わせながら「パンの匂い」という自分の生活の世界にふっと引き戻される。

ある歌を読みて仕事を辞めること踏みとどまれどやはり辞めにき /逢坂みずき
歌によって励まされたり、自分も頑張らないと、と思う。けれど、最後は自分の心にしたがう。

水銀は静寂(しじま)のなかを滑りだし四十度線越えてゆきたり /近藤真啓
「静寂のなかを滑りだし」、高熱の時の水銀の伸び方はほんとうにそう。体温計のことを詠んでいるけど、どこかよくわからない平原に居るような雰囲気がある。

「続きはこんど」と告げた絵本を読みなおすことは無かった おしまい 
/中山靖子

字足らずの「おしまい」の中途半端さがいいと思った。その時は続きがあると思っていても「無かった」ということ。そういうことが起きる寂しさ。

塔5月号 月集、作品1☆彡

06 /12 2018
紫陽花が目に涼やか。スーパーまでの行く道道に咲いている。紫陽花もいろんな詠まれかたをされる花。悲しかったり、嬉しかったり、怖かったり、とか。紫陽花の歌が載るのはは八月号くらいか。


新聞の隅隅までを読む人がひと月の購読を約し下さる /稲垣保子
新聞を隅隅まで。すごい。丁寧に読んでくれる人との契約は嬉しいだろう。ひと月読んだ結果、購読を続けてくれるかがまたどきどきではないかな。購読=面白い誌面、ということの。

このセーターは熱を出すわいと言ふ父ゆきて八度目の冬 /大橋智恵子
熱をだすわい、の素の話し方がいい。八年経っても思い出す普通の言葉。セーターはまだ家にあって見ると思い出すのだろう。字足らずはちょっと惜しいと思った。

石畳の道の余情は思はずに白杖の先で叩いて歩く /刈谷君代
無事に歩くことが何よりも大事。余情は思わないとしているけれど、伝わってくるものがある。

同門の絆は固いゆづくんはハビエルくんと抱擁したり /新谷休呆
オリンピックの一位と三位。二位は日本の宇野選手。国別対抗の祭典だけど同じ師についているから、こうなる面はある。ひらがなの「くん」が歌をやわらかにしてると思う。

町医者の待合室の窓にいた二両電車が駅を発ちゆく /向山文昭
「窓にいた」がおもしろい。電車が発ち、窓枠だけ残ってカラの額縁のよう。ほのぼのした歌。

パチンコ店勤務の女になりたしと夫に告げて透けゆくわたし /吉岡みれい
本気とも本気でないともいえるような呟き。なにかいっぱいいっぱいのような気がする。透けゆくわたし、は何者でもなくなってしまう自分だろうか。

雪雲の空を覆える夜はただ人をやすみて怪談を聞く /金田光世
「人をやすみて」。人との関係、そこから生まれるいろんな感情をしばしやすむ。怪談の怖いという感情だけにしばらく身を任す。それは気持ちが落ち着くのだろう。

めつたに来ぬ客を待ちゐて人は立つ昆布屋の暖簾白く短い /筑井悦子
おもしろい場面と思った。ゆらゆらする暖簾は昆布と似ている。

九か月のわれに<砂糖が必要>と 昭和十八年「體力手帳」 /村松建彦
「體力手帳」、母子手帳に似たようなものかな。この時代は砂糖もふんだんには手に入らなかったのだろう。「體力」の旧字に昔なんだと感じる。

アイロンは必ず夜に掛くるもの疑いもなく日没を待つ /山崎大樹
笑ってしまった歌。アイロン、日没まで待たなくてもいい日もありそうだけど、「疑いもなく」、「日没を待つ」の断定。アイロンの小さな日常と並んだ大げさな感じがおもしろい。

六月博多座大歌舞伎

ブログ
06 /08 2018

パンフレットとキャラメル

さてさて歌舞伎に行ってきた

市政便りに載っていた 「市民半額観劇会」

こいつはいっちょ当てようと 葉書三枚送ったが 

うんともすんとも言ってこねえ

諦めかけてた昼下がり 二枚当たった知り合いの その一枚を譲り受け 

A席2階Cの列 

絶景かな絶景かなー



という経緯で「六月博多座大歌舞伎」を観に行きました。2階の席、前から三列目。想像していたよりもかなり良く見えた。役者の裸足の指はなんとか見える距離。(視力約1・0~1・2程度で)

役者は、下駄や草履、足袋、裸足などいろいろあるけど、「裸足」ですごいなと思うのは、ダンダン!と音を立てる時もあれば、やんややんやと大立ち回りの時は足音を静かに抑えてるふうだったりとか、人間の裸足の足ひとつでもこんなに魅せるものなんだ、と思う。

私が見た演目は「伊達の十役」。足利家の当主足利頼兼をめぐるお家騒動で、悪だくみをする一味とそれを阻止しようとする者達が出てくる。忠義を果たそうとしていくつかの悲しいことも起きながら最後は治まる。

すごいのは、主要人物の十役を一人(染五郎改め幸四郎)が演じるところ。

見どころ、と紹介されているだけあってほんとに見どころ。


あと、こぼれ話だけど、悪者の仁木弾正が妖術で鼠になった時に、その着ぐるみ鼠の尻尾が舞台とセリの間に挟まって、黒子出動、という生の舞台ならではハプニングがあった。引っ張っても尻尾が抜けなくて、最後はセリを少し下げて尻尾が抜けた。その間も役者は演じていて、役者さんの心得には落ち着きというのはとても大事なことなんだろうと思った。

人の芸、人が芸、芸が人・・・・・・いやはやすごい・・・と思った帰り道でした。

からだがふたつほしい時

ブログ・からだがふたつほしい時
06 /04 2018


昨日は、午前は赤煉瓦歌会、午後は歌会会場すぐそばのアジア美術館ホールで<葛西聖司の歌舞伎入門>を聴く予定だった。昨年初めて歌舞伎を観て面白かったので、歌舞伎のいろはを聴ける!と申し込んでいた講演。前々から楽しみにしていたところ、ある日別のお知らせがやってきた。


「定時制通信制高校陸上競技大会・博多の森陸上競技場・6月3日」


・・・・・・。


というわけで、からだはふたつに増えてくれなかったのでこちらに行きました。




参加する生徒人数がとても少ない。応援の人もあまりいないから声援も少ない。その中でトラックを何周も走って選手たちはがんばるねえ!と思った。記録の面では普通校の大会には大きく及ばないけども。

次男は剣道の経験はあるけど陸上は初心者。三段跳びでの参加。

三段跳びは、まず、タタターーッと走って白線で右、右、左!または左、左、右!で踏み切り、砂に着地した距離を競う競技。

3位だったので全国大会に行くことになった。2位との差がすごくある。
駒沢オリンピック陸上競技場であるらしい。

高校生の記録を競うだけなら普通校も定時制通信制校も一緒にすればいいけど、別ってことはそれぞれの目的とか意図とかも違うんだろう。事務的なこともあるかもしれないけど。

なにはともあれ、みんながんばれ!(のびしろアリ。この目で見た)

ukaji akiko

塔短歌会。ふだんは赤煉瓦歌会に参加しています。スガシカオ好き。気軽に好きなことを書いてゆこうと思います。

プロフィール欄がなぜか二つになっていて直りません。

Happy go Lucky!