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バックナンバーでぜひどうぞ。

06 /24 2019

熊本にいる長男から一昨日送られてきたポスターの写真「日本マンガ学会 第19回大会」。私がこの頃「風雲児たち」というマンガ読んでいたので、その絵が描かれてあったのを見て送ってくれたのでしょう。開催されているさなかに送って来てくれても行けんよ・・・。と思いつつ有難くラインナップを見てみると、面白そうな研究発表がいくつもあっていました。


「オノマトペ」や「読み手の共感性」などは短歌でもよく聞く言葉。

塔でもマンガのことを特集した号があります。ちょっと読み返してみました。
2016年8月号(特集マンガと短歌)、同年11月号(特集全国大会報告、全国大会のゲスト池田理代子さんとの鼎談「越境する表現」と、真中さんの講演「マンガを詠んだ短歌」)。


8月号、漫画の歌三〇首(真中朋久選)があります。キャラクターや題名が詠み込まれているものやそうでないものなど、さまざまで面白いです。そこから一首。

ねずみ男のような体で陽を浴びるよくわからないのさがんばりかたは /花山周子『屋上の人屋上の鳥』

この歌はキャラクターにふわっと作者自身を重ねてあっていいな、と思います。

11月号の鼎談(池田さん、吉川さん、永田紅さん)は、マンガと歌にみる省略のことや時間の経過のことなどが話されていて、読めば思い出しますが、私がすっかり忘れていた話として「文語による敬語の迫力」というものがありました。「ベルサイユのばら」のなかで、敬語で語る場面が時にとても迫力を持つということから関連して、

われよりも優しき少女に逢ひ給へと狂ほしく身を闇に祈りたり
 /河野裕子『森のやうに獣のやうに』


灼きつくす口づけさへも目をあけてうけたる我をかなしみ給へ
 /中城ふみ子『乳房喪失』


を吉川さんが挙げられています。

たしかに文語であるからこその迫力かと思います。

8月号は他に「マンガと短歌」というテーマで5人の方の文章、「私の好きなマンガ」というたくさんの会員のエッセイが載っています。エッセイ、私は「ブラック・ジャック」が好きで、でもエッセイは書けないな・・・それに誰かが絶対書くだろう、と思って書かなかったことを思い出しました。エッセイは会員のマンガ熱がけっこうすごいです。8、11月号とも身近な話題が深まっていて大変面白い号です。

持っていない方はバックナンバー注文でぜひどうぞ。マンガが好きな人には特におすすめ!(在庫はお確かめください、あるといいです)。


追記。
結局「ブラック・ジャック」のエッセイは誰も書いていませんでした。教訓トシテココニ記ス。

ナイス!な取り組み大牟田市!

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06 /22 2019

↑赤いとこが大牟田市。宮原抗や三池港が世界文化遺産として登録されてます。(図、大牟田市観光情報サイトおおむたnaviより)



昨日の新聞に載っていた大牟田市のニュースがとても良かったです。(以下、記事の冒頭を抜粋)

〈認知症患者らDM配達〉 ~大牟田市・介護施設・宅配業者らが連携~

認知症や高次脳機能障害を負う高齢者が宅配業者のダイレクトメール配達を担う取り組みが大牟田市で始まっている。高齢者にはわずかだが報酬が入る上、社会参加を実感でき、症状の進行を抑える効果も期待できる。宅配業者は従業員不足を補え、地域住民の認知症などへの理解も進むなど、メリットは大きい。


写真にはにっこりしてDMを渡す高齢者の方が映ってます。

最初見出しを見た時に、どうやって認知症の方が配るのだろうと思いましたが、施設職員の介助を受けながら徒歩で配る、ということで、記事を読むと仕事量は無理のないペースでなされているようです。宅配の報酬は健常者の方と同額の一通当たり23円。

認知症の方のメリットとして、リハビリになる、地域の人に顔を覚えてもらえる、仕事をしているという意識が本人に強くあり喜んでいる、ということが挙げられてます。

今後も市が間に入って参加施設を増やす予定らしいですが、三者が「してみましょう!」と明るいほうにまとまって、よかった、と思いました。ひと昔前にはあまり見られなかった混ぜ混ぜ社会が増えていってるなあと感じます。

(宅配業者はヤマト運輸大牟田支店、施設は「てつお」と「ライズ」というところ)

扉がぎ~っと開きたり

06 /13 2019

赤煉瓦文化館は改修工事のため6、7、8月は使えません。けれど中の事務はあっていて、9月の部屋の予約はとれるようになっています。インターホンをピンポーン・・・。ほどなくして扉の向こうでがたがた音が鳴り、左の扉がぎ~っと開きました。お客は私一人。履物を脱いでください、塩を頭からかぶってください、とか言われたらすぐさま逃げねば・・・・・。

改修工事はまだ前準備の感じで何も工事はあっていませんでした。事務の方とお話しして少し驚いたのは、室内にカフェを作る他にアルコールも出す予定があるとのこと。閉館時間も22時になるそう(予定)。…ええ?アルコール??…。わざわざここで出さなくてもいいんじゃないか?と私は思ったけれど計画されてるということは歓迎する人のほうが多かったのかな…。ふ~ん…。

9月の歌会は8日の予定です。

赤煉瓦文化館(旧日本生命九州支店)/明治42年(1909)竣工

塔5月号 その3☆彡

06 /11 2019

今日は日差しは強かったけれどカラッとして涼しかったです。いつもこうだといいなあ。そろそろ塔6月号が届く頃かな。


なんとなく君がどこかで泣いている赤い傘さす細い路地裏 /山名聡美
「なんとなく」というあてどない予感。けれど淡い景色の中でさされる赤い傘が、作者の予感を強めているような感じがします。雨と泣いている君との重なりが静か。

わたしには子どもが在るから言わぬけど子のないこともいいと思うよ/株本佳代子
ほんとうにそう思っていても子どもがいる作者からは言いにくい。「子のないこともいいと思うよ」は「子はいないほうがいい」とも違う。自分も相手も大事にしている言葉だと思う。口語が優しくていいです。

絵本には樹にひっかかりし凧ひとついつも指さし首かしげる子 /児嶋きよみ
かわいい。いつ絵本を開いても凧が樹に引っかかっているのが不思議なのだろう。凧がまだ樹からはずれてない、と思っているんじゃないかなあ・・。

すべり終えあお向きの子が指させり冬三日月の鋭いひかり /齋藤弘子
喜んで滑っていた子のはっとした様子。あお向きのまま、子と月との間に何もなく一対一という感じがいい。夜の滑り台がしんとしていて雰囲気があります。

スニーカーいいよねパンプスよりずっと地面を歩いている感じする /佐原八重
スニーカーは自分の足の形で地面を踏むことが出来る。地面を歩いているというのは自分を歩いている、という感じなのだろう。

笑ふたびミルクのにほひわたしいま春をしらないひとを抱いてゐる /川田果弧
作者は春をしっている「ひと」。赤ちゃんは春を知らない「ひと」。小さな赤ん坊を自分と同じ目線で詠うところが印象に残った。微笑ましい雰囲気のなか、壊れそうなくらいはかないものを感じます。

猛烈に腹の立ったら食むと言う二千円のそのレトルトカレー /鈴木緑
レトルトカレーの二千円というのは高い。そういうものを幸せの中にいる時より腹の立った時に食べる、というのは確かに似合っているかもと読んで思った。勢いが大事なことって多いし、ちょっとやけっぱち感もあり面白い。(昨日の感想が思ったように上手く書けなかったので書き直しました)

成りあがる物語はもういらなくて読みたい復活の物語 /井上雅史
復活という言葉は力強い。復活していくのは物語の主人公だけれど作者に重なる。

先生が着替えさせたる洋服が上下ピンクで可笑しい哀しい /大和田ももこ
保育園かな。「可笑しい哀しい」がいいと思う。可笑しいの後に来る哀しいの感情。ピンクという色がいっそう哀しい。

かの金魚鯉のごとくになりぬればタクシーに乗せ放生池へと /俵山友里
最初は簡単な世話でよかった金魚。大きくなり作者は持て余してしまう。タクシーに乗せることにまでなって大変。

鼻先に細く雨降る こうやってできた湖だってあること /長谷川麟
そういう湖あるのかもしれないなあ。とても細い雨で、途方もなく長い長い時間をかけて。作者は湖のことだけを言っているのだろうか。人の気持ちの成り立ちを言っているようにも思える。「鼻先に」にリアリティがあり、静かな雨の中に包まれている作者の姿が浮かびます。


昨日このページの記事を書いて、今日、その中の二首の感想を書き直しました。自分が思ったことに昨日より近づけて書けて良かった。評や感想が作者の意図とは違っていたりもあると思う。それはなるべくないほうがいいけれど、それとは別に、自分が思ったこと上手く書き表せるかというのも私にはまだまだムツカシイ。たった2、3行の感想でも。とほほ。今後ともどうぞよろしくお願いいたします☆彡

塔5月号 その2☆彡

06 /07 2019

ベランダからの景色が良かったのですが、只今真ん前に細めの8階建てワンルームマンションが建設中。小学校校庭や何となく時々見ていた点滅信号は見えなくなるだろう。6階くらいまで出来上がってきている。


そのすべてを愛してゐたといつのこと思ひ浮かべて娘はうたふのか /岡本伸香
米津玄師さんの「Lemon」にある歌詞。作者はまだ若いわが子が、いつのことを思い浮かべてこのフレーズを歌っているのか、と思う。同時に作者自身もこの歌詞に自分の中の風景を考えたのではないかなと思います。

雑草という草はないと言う人にことさら強く「雑草」と言う /王生令子
「雑草という草はない」。一見聞こえはいいけれどあまり深く考えずに上手くまとめようとした「人」への、作者の反発する気持ちなどがあるのかもしれない。勢いがあり、「雑草」という言葉をどうとらえるかなどを考えるのも面白い歌。

春なんてきてほしくはないんだけれど道の駅にてミモザ買いおり /佐伯青香
春を積極的に迎えたくはないけれど、春のような優しい気持ちは持っていたい、という感じかな。花屋ではなく道の駅で買うところにもそういう気持ちが見えてきそうです。ミモザの持つ空気感と優しい黄色がいいです。

音だけの春の小川は現れてふぐり咲く野をひとりで歩む /吉原真
歩いている途中から聞こえてきた「春の小川の音」。音が「現れる」というところがなるほどなあと思った。春の小川のやわらかさ。「ふぐり咲く野をひとりで歩む」の語感もやわらかい。

開くのに四人の力が必要な台なのだからかけ声かける /泉みわ
他の歌を読むと、この台というのは卓球台のようだ。台を開くのに四人はどうしてもいる。「だから」声をかける。それだけの歌ですがなんか面白いです。三人はすでにいるのかもしれない。

それ専門みたいな手つきでタクシーをとめては次々人を送る人 /内海誠二
目に浮かぶ…。

ちょっとした飢餓があるから椿の葉硬く光って真冬日の月 /希屋の浦
作者には何か希求しているものがあるようだ。一首から冬の夜の空気の凛とした冷たさが伝わってくる。その中で光る椿の葉。作者の飢餓が消えることはあるのだろうか、それまで光り続けているのだろう。

手袋をはめたまま手を振る候補者にぼうしを脱いでおじぎを返す /北野中子
どっちが主役かと笑ってしまうけれど、よく考えると国民が主役なのだからあながちおかしな行動でもないわけだ。「ぼうしを脱いでおじぎを返す」が優雅。ユーモアがあって楽しい。

裸足でも誰も気にせぬ国道に点々と散るコブシの花よ /中井スピカ
大きな国道ではなく、交通量も少ない国道なのだろう、「裸足でも誰も気にせぬ」とあるから。自由さがあるとともに、コブシの花が点々としているところが寂し気。

蠅の口しっかり見ればこのハエにも願いのありてつぶやきそうなり /福西直美
退治しようと思って近づいてじ~っと見たのか。しっかり見る、というのがすごい。願いがあってつぶやきそう、とまで思ってしまえば退治するのは難しい。空へ飛んでけ、と追い払ったのでは。

ukaji akiko

塔短歌会。福岡市在住。赤煉瓦歌会に参加しています。